健康づくり提唱のつどい | ||||
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講演 II 「腸内フローラと健康」 〜プロバイオティクス研究最前線〜 |
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講師 株式会社ヤクルト本社 広報室次長 三毛 明人氏 | ||||
1. | 微生物研究の歴史から 三人の研究を紹介された。 | |||
エッシュリヒ :大腸菌の発見者 | ||||
ティシエ :ビフィズス菌の発見者 | ||||
代打 稔 :ヤクルト菌の発見者 | ||||
2. | プロバイオティクスとは | |||
プロバイオティクスは抗生物質(アンチバイオティクス)に対比する概念で、共生を意味するプロバイオシスを起源とする言葉です。そして、プロバイオティクスとは、「腸内フローラ(細菌叢)のバランスを改善することにより、宿主(ヒトなど)に有益な作用をもたらす生きた微生物」また「十分な菌量を摂取することにより宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物」などと定義されている。 これによく似た言葉にプレバイオティクス「腸内の有用菌やプロバイオティクスを増やす働きのある難消化性の食品成分(オリゴ糖など)」がある。 この、プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取する場合に使用される用語がシンバイオティクスです。手術後の感染症の発症が抑える予防効果の例を紹介された。 ガラクトオリゴ糖は、便性改善効果・むし歯 の原因にならない・甘さは砂糖の約3分の1・加熱に極めて安定という特長がある。用途も乳製品・飲料・菓子・デザート・冷菓・パンなど広く使用されている。 |
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3. | 医療現場におけるプロバイオティクスの臨床応用事例 | |||
L.カゼイ・シロタ株の継続摂取は大腸ガンのリスクを低減する例。 潰瘍性大腸炎患者数は、20年間で15倍以上に増加している。ビフィズス菌発酵乳飲用による潰瘍性大腸炎患者(緩解期)の再発を抑える効果の例を紹介された。 腸内フローラを形作っている腸内細菌は、その働きや人間に対する影響から、乳酸菌やビフィズス菌等のような有用菌、黄色ブドウ球菌やウェルシュ菌等のような有害菌、並びにどちらにも区別できない中間的な菌(大腸菌やバクテロイデス等)に大別することができる。 |
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4. | 食中毒予防とプロバイオティクス | |||
日常の排便習慣とO−157感染症の重症度について、患者アンケートを紹介された。 | ||||
〇 | 排便習慣が1日1回以上で、朝食後にすぐ排便する小児が軽症で、便秘で排便時期不定の小児は重症化していた。 | |||
〇 | 菌の腸内での停滞時間が長いほど増菌され、粘膜への直接侵襲で血便となる。 | |||
〇 | 重症化予防には日常の良い排便習慣が形成されることが望ましい。 | |||
ヤクルトの研究成果が、平成17年度(生物1A)の大学入試センター試験にでていた。内容は、『試験管内のO−157培養実験で実験の結果(答)は、O−157に乳酸菌を添加して培養すると、培養液の乳酸濃度が上昇し、培養液のpHは低下した』というものであった。 | ||||
5. | おなかの健康を守る特定保健用食品 | |||
平成18年11月16日現在で、611商品ある。用途別に見たとき、整腸に関するものが42%と圧倒的に多い。また、その関与する成分の内訳は、食物繊維・オリゴ糖・乳酸菌などおなかの調子を整える食品である。 |
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(文責 病院 Y.N) |